JAとは…
JAは農業協同組合です
JAとはJapan Agricultural Co-operatives(日本の農業協同組合) の略で、新しい農業協同組合(農協)のイメージを象徴する愛称として1992年(平成4年)4月から使用しています。
JA(農協)は、人々が連帯し、助け合うことを意味する「相互扶助(そうごふじょ)」の精神のもとに、組合員農家の農業経営と生活を守り、よりよい地域社会を築くことを目的としてつくられた協同組合です。
この目的のためにJAは、組合員の農業経営・技術指導や生活についてのアドバイスを行うほか、生産資材や生活に必要な資材の共同購入を行ったり、農産物を共同で販売したり、農業生産や生活に必要な共同利用施設の設置などを行っています。また、貯金の受け入れや融資を行う信用事業や万一の場合に備える共済事業などさまざまな事業や活動を行っています。
さらに、高齢者への福祉活動や学童農園への支援、ファーマーズマーケットなど地域社会とのつながりを強める活動に取り組んでいます。
JAの組合員資格には、正組合員(農家)と准組合員があります。このため、農家でない人でも、それぞれのJAで定めた加入手続きに従い、出資金を払い込めば准組合員として組合員資格を得てさまざまな事業を利用することができます。
全体として安定感のあるデザインは、「ゆるぎない大地」「日本の国土」をイメージしています。 |
JA綱領
JAには、JAの基本的な価値・役割や新たなJA運動の展開方向を探るため、組合員・役職員の共通の理念として、「JA綱領」というものがあります。「JA綱領」には、JAが農業と地域社会に根ざした組織として、農業はもちろん、食や緑、さらには環境・文化・福祉を通して地域社会とともに歩む存在であることが記されています。
前文
わたしたちJAの組合員・役職員は、協同組合運動の基本的な定義・価値・原則(自主、自立、参加、民主的運営、公正、連帯等)に基づき行動します。
そして地球的視野に立って環境変化を見通し、組織・事業・経営の革新をはかります。さらに、地域・全国・世界の協同組合の仲間と連携し、より民主的で公正な社会の実現に努めます
このため、わたしたちは次のことを通じ、農業と地域社会に根ざした組織としての社会的役割を誠実に果たします。
本文
- 地域の農業を振興し、わが国の食と緑と水を守ろう
- 環境・文化・福祉への貢献を通じて、安心して暮らせる豊かな地域社会を築こう
- JAへの積極的な参加と連帯によって、協同の成果を実現しよう
- 自主、自立と民主的運営の基本に立ち、JAを健全に経営し信頼を高めよう
- 協同の理念を学び実践を通じて、共に生きがいを追求しよう
JAグループ組織図
JAの事業を進めるにあたり、JAが都道府県単位や全国でまとまって、連合会や中央会を組織し連携することで効率的に事業を展開しています。JA・連合会・中央会・関係団体を合わせてJAグループといいます。
中央会は、JAグループの代表・総合調整・経営相談などの機能を担い、JA・連合会の健全な発展を図ることを⽬的にしています。
他にも農産物の広域販売や⽣産資材の仕⼊れなどを担うJA全農、資⾦の運⽤などを担う農林中央⾦庫、組合員のくらしの保障を担うJA共済連など、さまざまな連合会が役割を発揮しています。
JAグループの事業案内
営農・生活指導事業
JAの土台となる事業
JAの指導事業は「営農指導」と「生活指導」に大別されます。一面的な指導ではなく、組合員が営農に取り組む際は、資材の購入や生産・出荷など、JAの様々な事業に関わってきます。JAは、それらが全体としてうまくいくように手を貸しています。
指導事業は、JAが取り組む様々な事業を有機的に結びつけ、事業を利用する方々の満足度を高める土台となっています。
地域の自主的な活動を支援
JAの生活指導事業は、組合員の生活全般について指導し、生活向上に重要な役割を担ってきました。近年では、生活様式やニーズの多様化により、くらしの各分野を支援する「くらしの活動」として取り組むことが多くなっています。
JAくらしの活動は、組合員・地域住民の願いをかなえるためにJAが主体となり、主に食農教育、都市農村交流、高齢者生活支援、女性大学など、これまで以上に戦略的に展開していく必要があります。
経済事業
販売事業
組合員が生産した農産物をJAが集荷・販売することを販売事業と呼んでいます。 組合員が作ったものをどう販売するかは、組合員の所得に直接かかわるため、JAの最も重要な事業です。JAの販売事業は「共同販売」で行うため、「共販」とも呼ばれます。 共販をすることで農畜産物の数量がまとまり、一定レベルの品質が均一にそろうことから、市場で良い条件での販売が可能になります。
販売事業はJA、都道府県のJA経済連・JA全農都府県本部、全国段階のJA全農によって機能・役割を分担して展開されています。
また、JAグループは一体となって、生産履歴の記帳をはじめとする安全性の確保対策や消費者とのコミュニケーションの促進を通じて、安全・安心な国産農畜産物の生産・流通に努めています。
・増える直接販売
農畜産物流通も時代とともに大きく変化しており、JAグループでは多様な対応を行ってきました。 そのひとつとして、JAが直接、生協等の消費者組織や量販店、小売店、外食産業等に販売する傾向が強まっています。 また、消費者に対して直接販売する動きも顕著で、農産物直売施設等、独自の店舗を設置するJAも増えています。
ファーマーズマーケットは、地域の消費者に地元産の新鮮な農畜産物を供給する「地域に支持されるJA事業」のひとつです。ほかにも、災害時にいち早く消費者へ食料供給、生産者への所得確保ができる販売業態でもあることから、JAグループはファーマーズマーケット事業の維持・拡大をめざしています。
購買事業
JAの購買事業とは、JAが組合員に肥料、農機具、飼料等の生産資材や生活資材をできるだけ安く、良質なものを安定的に供給しようとするものです。
購買事業は大きく2つに分かれます。
ひとつは肥料や農薬等、組合員の営農活動に必要な品目の供給を行う生産資材購買です。もうひとつは食品や日用雑貨用品、耐久消費財等、組合員の生活に必要な品目を供給する生活資材購買です。メーカーと交渉し、低価格・安全・良質の資材を提供することが中心ですが、JAグループが自ら生産して組合員に供給することもあります。
信用事業
「JAバンク」として一体的に金融サービスを提供
JAの信用事業は、組合員などから貯金等を預かり、それを原資として、組合員などに貸し出しを行うものです。また、JA・JA信連・農林中央金庫(以下、農林中金)により構成された「JAバンク」は一体的に事業運営を行い、各種金融サービスを行っています。
まず、JAは組合員などからお金を貯金という形で預かります。この貯金を原資に、組合員等のお金を借りたい人に対して貸し出します。貯金から貸出金を控除して残ったお金を「余裕金」と呼んでいます。この余裕金の大部分はJA信連への預け金として運用されます。
JA信連はJAの余裕金を貯金の形で預かり、それを原資にして資金を必要とするJA連合会等のJAグループ、その他政令などで認められている貸し出しを行います。貯金が貸し出しを上回った余裕金は、有価証券や農林中金への預け金として運用されますが、多くは農林中金に向けられます。また、JA信連は政策公庫資金などの受託機関として、資金の貸し出しを行っています。
農林中金はJA信連からの預金を中心に資金を調達し、JAグループや、JF(漁協)、森林組合等、系統機関が必要とする資金を融資するほか、内外の金融市場・資本市場で資金運用を行っています。
共済事業
「JA共済」として一体的に保障を提供
JA共済は、相互扶助を事業理念として、組合員・利用者と共済契約を締結することによって、「ひと・いえ・くるまの総合保障」(生命と損害の両分野の保障)を提供しています。
そして、JAとJA共済連は、共同で共済契約を締結しており、JAでは、JA共済の窓口として組合員・利用者の各種手続きを行い、JA共済連は、各種の企画、仕組開発、資金運用、支払共済金に係る準備金の積み立てなどを行いながら、一体となって保障を提供しています。
JAを通じて契約者からお預りした掛金は、事故(死亡共済金、自然災害共済金、対人賠償共済金など)や満期のお支払いに備え、適切に運用・管理されています。
JA共済では、こうした保障の提供だけでなく、交通事故対策や災害救援・復興支援、健康増進など、JAならではのさまざまな地域貢献活動にも積極的に取り組み、地域の皆さまが豊かで安心して暮らすことができる地域社会づくりに努めています。
厚生事業
JAの厚生事業
農山村地域では、都会に比べ医療施設が少なく、農作業をするときに発生しやすい病気や農業の機械化に伴う労働災害も考えられます。このためJAグループでは、病院・診療所の設置・運営や、組合員および地域住民への健康診断等に取り組んでおり、こうした事業を厚生事業と呼んでいます。
農山村地域における医療の確保を原点に、健康増進活動の促進、良質な医療の提供等、日々健やかに過ごせるように保健・医療・高齢者福祉の分野で事業を展開しています。
- 保健事業
疾病の予防・早期発見のための健康診断や健康の維持・増進のための健康相談・栄養指導等を行います。 - 医療事業
病院や診療所で疾病の治療を行います。 - 高齢者福祉事業
介護を必要とする高齢者に対する福祉事業を行います。介護老人保健施設等における施設サービスと、訪問看護等の在宅サービスを実施しています。
その他の事業
高齢者福祉事業
元気な高齢者のいきがいや健康管理に関する問題のみならず、介護を要する高齢者の問題も数多く、個々の組合員が家庭内で対応するには、限界が生じているともいわれています。そうしたなか、農家組合員等からJAの高齢者福祉事業は大きな期待が寄せられています。
高齢組合員、そして高齢者を抱える組合員のこのようなニーズに応えるため、JAグループでは高齢者のくらしを支援するという観点から、JA高齢者福祉事業に取り組んできました。
・JA厚生連の高齢者福祉事業
JA厚生連では、訪問看護、訪問リハビリ等、高齢者に対する医療管理を加えた介護の提供や、その家族に対する介護相談の対応等を行っています。
また、JAが行う介護事業への支援や、JAホームヘルパー養成研修に講師を派遣するなど、JAとの連携を推進しています。
旅行事業
旅行事業は、JA支店を拠点に地域内外の多様な人々の「集い」「ふれあい」「行き交う」活動に、JAくらしの活動を連携させて交流を促進する「旅行・催し」などを通じて「地域のつながりづくり」を提案することです。
JA旅行事業は、各JAや株式会社農協観光により取り組まれています。
新聞・出版事業
・日本農業新聞
株式会社日本農業新聞は、日本で唯一の日刊農業専門紙『日本農業新聞』の発行をはじめ、食と農の総合情報メディアとして、またJAグループの情報受発信センターとして、多様な媒体を用いた情報発信を展開しています。農政や農業技術、流通・市況などの情報を提供していくほか、読者に食や農の大切さを伝えています。また、JA組合員、役職員向けの情報提供も行っています。
そのほかにも、インターネットで農産物価格・市況データを届ける「netアグリ市況」、消費者向けのJA農産物直売所情報紙『フレ マルシェ』の発行、JA広報のコンサルタント等、多彩な事業を展開しています。
・『家の光』の発行と文化事業
一般社団法人家の光協会は、JAグループの一員として協同組合精神に基づき、出版文化活動を通じて農山漁村文化の向上に寄与することを目的として設立された団体です。月刊誌
『家の光』をはじめ、各種雑誌・書籍を発行するほか、それらを活用したさまざまな文化事業を行っています。
農業・地域・JA組織のリーダーのためのオピニオン雑誌『地上』、食農教育をすすめる子ども雑誌『ちゃぐりん』等の様々な書籍を発刊し、農業やJA・協同組合への理解を促進するための情報発信に努めています。
文化事業では、雑誌や書籍の愛読者が集い、記事を活用した体験を発表する「家の光大会」や、暮らしの計画化をすすめる「ライフプラン・家計簿セミナー」、料理教室や手芸教室などの「生活文化教室」等の開催を支援しています。全国各地のJAで開催され、心豊かで安心して暮らせる地域づくりに貢献しています。
相続・事業承継支援対策
・「JAまちづくり・資産管理事業」から「相続・事業承継支援」へ
JAまちづくり・資産管理事業の期限は「農住都市構想」です。構想は、都市化の波が押し寄せるなか、農家とJAが協働して農業と住宅とが調和した都市建設を進めることの必要性を提起しました。
その後、バブル経済前夜には、「土地・建物等農家資産の管理保全、都市的有効活用」について、JAが総合的に事業展開をすべきであるとの考え方が提起され、それら一連の業務は「資産管理事業」という名称に集約されました。
近年では、高齢化の進行、相続税の課税強化といった要因を背景に相続対策への注目が高まっており、組合員の所有資産にかかる関心事は「活用」から「保全・承継」へとシフトしつつあります。また、組合員の高齢化の進行とともに、組合員世帯における円滑な世代交代の実現をサポートすることが、JAの事業基盤確保の観点からも重要性を増しています。
JAグループでは、世代交代に伴い発生するニーズへ的確な対応が図られる体制の構築をめざしています。